徐楽楽 COIN JINJA創業者インタビュー

個人プロフィール

新しいテクノロジーはソフトウェア(プログラミング)でもハードウェアでも大好きなThe Geek。

生年月日
1980年
出身地
中国浙江省杭州市

インタビューに先駆けて

株式会社COINJINJAのCEOである徐 楽楽に共同創業者の沼崎 悠が2017年12月24日にインタビューを実施した内容です。

クリスマスイブなので、チームのメンバーの家族も集めて後ろではパーティをしながら、時々仕事をしています。

COINJINJAは、仮想通貨ユーザーから最も支持されるサービスを提供する事を目指しています。

顔が見えにくい仮想通貨の世界だからこそ、少しでも我々がどんなチームでどんなバックグラウンドを持つチームなのか、伝われば嬉しいです。

まずは、CEOである徐 楽楽(じょ らくらく)のCOINJINJAを作るまで、を紐解いていきます。本文は質問者は沼崎、回答者が徐になります。

プログラミングとの出会い

初めてPCに触れたタイミングっていつだった?

元々父親が中国の公務員で、政府機関が文章の処理なんかの為にPCを導入した所に連れて行って貰ったのが1番最初だったんだよね。Windowsもなくて、Intel 80386

恐らく中国でも相当早い時期にPCに触れる機会があった人間だと思う。

ピンイン(中国語の英語入力。日本語のローマ字入力)も無くて、五筆字型入力という漢字の字形によって入力する時代だった。

父親はそんなPCをかなり一生懸命勉強していて、いとこのお兄さんにDOSプログラミングの本を貰ったところから、自分も勉強し始めた。

それが中学二年生くらいで、どうしてもPCが欲しくなって、親に高校の入学試験でいい成績を取ったら買って貰う、という約束をしていた。

頑張って勉強して無事、買ってもらったんだけど、価格は9000元(現在の価格にして、180,000円)、計算してみると当時の中国の月収の3ヶ月分以上に相当する。

それは両親に感謝しないと

うん、この買ってもらったPCで最初に作ったのが教師だった母親が生徒の成績を管理する為のシステムだった。開発に使ったのはFoxBASEという、後にマイクロソフトに吸収合併されたデータベースと開発言語が一体化された製品。

高校時代から大学時代はプログラミング漬けの生活だった?

当時は、プログラミングコンテストに参加して浙江省で二等賞を取ったりしていた。

大学に入る際にも、復旦大学のコンピューターサイエンス学科を選んだ。(復旦大学は、上海にある中国のトップ大学で、世界大学ランキングでも43位にランクインしている)

奥さんも同じ学科で、大学時代は奥さんの実家にずっと入り浸っていたね。

中国の大学って基本的に全寮制なんじゃないの?

いや、大学のコンピュータールームは夜には閉まるし、寮には電源が無かったんだよね。死活問題だから、電源があって、大学から近い奥さんの実家で一晩中PCをいじっていた。

外の世界を知りたくて、日本に来日

日本に来たのは大学を卒業してから?

うん、海外に行きたかったから、上海に進出していた日本企業に就職して、VISAの関係で半年位その上海の子会社にいたけど、その後日本に来た。

当時、日本語なんて喋れなかったんでしょう?

全く。(笑)喋れるようになったのは、日本に来て3年位経ってからからかなぁ。

さすがエンジニア、言語関係無く、海外で就職出来るんだ

周りでもソニーに直接就職したり、結構あったよ。ちなみに、奥さんも同じくエンジニアだから同じ会社に就職して日本に来た。

日本に来た後はどんなプログラミング書いていたの?

金融系のシステム開発だったから、大手証券会社の中でシステム開発してた。5年位やっていて、最後は事業部長になっていたな。

無難そうな人生じゃん。(笑)起業するに至ったのはなんで?

ずっとアップルというかスティーブ・ジョブズに憧れてたんだよね。会社に入った時、会社からお金を借りてiPod 2を買った位。(笑)当時は、10万円近くしたんだよね。

その後もずっとジョブズを追いかけていて、2007年のiPhoneを発表したWWDCはLiveで見てたよ。

当時の仕事は、20人位のチームで、2年単位で何億も掛けて、たった2人しか使わないトレーダー向けのシステムを作っていた。

これと比較しちゃうと、アプリで何十万人のユーザーに使って貰えるものを作れるというのは本当に感動的だった。

Appleも最初はSDKを公開していなかったから、アプリ作ったり出来なかったんだけど、2008年になってそれがオープンになった。

2008年に起業した最初の会社はアプリ開発の会社だった。2010年位までは、Appleの有料アプリランキングの1ページ目(当時は25位まで)の内、15個まで自社で開発したものだったりしたよ。自社アプリ、受託開発、レベニューシェアモデル、なんかを合計してだけどね。

徹底してUXを追求したアプリがAppleのTVCMに使われた事もあった。

アプリ開発からサービス開発へ

CCCグループに売却したRAKUNEWっていつ頃始めたんだっけ?

RAKUNEW 海外のKickstarterをはじめとしたクラウドファンディングのガジェット製品を日本語で紹介し、日本からも簡単に購入出来るサービス。

構想は2012年の8月から。実際にオープンしたのは2013年の3月。1番最初は、海外からガジェットやアパレル関連の製品、両方をやっていたんだけど、ガジェットに絞ってから一気に伸びた。

実は、TechCrunch社にも紹介されたが、RAKUNEWは日本初のビットコイン対応ECであった可能性がかなり大きいんだよ。ビットコインに縁がありってことか(笑)

2015年になって、「訪日」「越境EC」がブームになっていたので、そっちに集中しようと思って、RAKUNEWは切り離した。

結局越境ECの方は、資本力勝負みたいな所があって、僕達だけじゃ勝負にならないので、事業の一部を中国の大手企業に売却してしまったけどね。

その後に始めたのがオトオク

うん、AIで中古自動車の買取サービスなんだけど、自動車の売却価格って実際に中古自動車を買う消費者価格と売却する時の価格にかなり差があるんだよね。

いわゆる仲介業者の市場がブラックボックスになっていて、ここでマージンが抜かれている。

僕らはその市場が全く分からなかったから、逆にあらゆる自動車の販売データ等をAIに判断させて価格を算出するサービスを作ったんだ。

で、やっと仮想通貨関連のCOINJINJAをスタートする話になる、と

大学時代の同級生が、結構中国の仮想通貨の業界で活躍していて、彼らの話はずっと聞いていたから興味はあったよ。

僕はいつも、英語や中国語で海外の情報をすぐ仕入れるんだけど、なかなかそれが日本語にならない。最初のキッカケはそれを日本語にしようという所からだった。

それが2017年の8月位の話だよね。そういえば今はアプリの方がユーザー多いけど、あれも最初はウィジェット作りたかったからだよね

そう、単純にAppleのデフォルトアプリである株価情報と同じUIで仮想通貨の価格情報が見れるウィジェットが欲しかったからアプリを作った。

でも、ウィジェットだけだとApple Storeのアプリ申請通らなくて。(笑)機能追加しなくちゃいけなくなったから、同じようにユーザーが必要な機能を考えて追加していったのが「コイン相場」。

結局、どんどん機能追加していったからウィジェットより、アプリの方が評判いいけどね。

どんどん新規事業を生み出すが、その共通軸は

ここまで色々事業をやっているけど、意外と一貫している所があるよね。スタートとしてはユーザー目線で技術力とUXの追求するのがあって。でも基本的に新しいものが好きで、自分が欲しいもの作っているよね。

それはそうかも。アプリ開発始めたのも、何年も前からジョブズやアップルを追いかけていたからだし、週に何回も電気屋行く位ガジェットが好きだったからRAKUNEWを始めた。

車も日本に来てから6回位買い替えているから、オトオク始めたし、仮想通貨も結構前から興味あったよね。

最初のプログラミングの話からそうだけど、とにかく新しいもの好きだよね。家はスマートロックに、アレクサ入れてスマートホームにしているし。3Dプリンターもあるし。

会社もスマートロックだしね。

車もテスラだったのはもう徹底しているなと思った。(笑)

もう趣味だよね、新しいテクノロジー使ってみたり、勉強するのは。

その辺りは徹底してエンジニアだ。

3度の飯よりプログラミングが好き!でチーム集めているから。僕も大好き。

中国に帰ろうとか思ったことないの?

全然無いね。奥さんも僕より好きだし、子供も日本語の方が中国語より上手だしね。日本で大成功して、これ以上自分が成長出来ないと思ったら、中国帰るかも。(笑)

COINJINJAって何を目指しているの?って俺が聞くのもおかしいけど。

プロダクトとしては、仮想通貨の入り口として、世界で1番使いやすいウェブサイト・アプリを目指したいよね。

使いやすさの中身は、結局変わっていくことが多いと思うから、ユーザーが必要とするものを、最高最速で提供する方が大事だと思っている。

基本、開発力とユーザービリティの高さで勝負していくスタイルだから、それ自体は今後も変わらないかな。

なんか、隠している事多くない?その発言(笑)

確かに、他にも色々考えていることはあるけど、僕らは絵に描いた餅で勝負するんじゃなくて、作ったプロダクトで勝負するから。

発言より先にプロダクトを作って、そこから改善していくよ。